高校生と大学生の違いは何か?

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学習内容が高度になること以外で、高校生と大学生は何が違うのでしょうか? 学ぶ姿勢という観点から考えてみましょう。
 

振り返ってみると、高校までは、教えられたことを学ぶことが生徒の役割でした。覚えるべき知識があり、それらを正確に暗記することが最優先であって、覚えた知識を使って何かに挑戦することまでは求められていませんでした。

一方の大学生は、先人の研究事例から批判的に学ぶとともに、その知見を活用して、まだ解明されていない課題や未解決の問題に取り組むことが仕事です。つまり、学ぶ者であると同時に、研究する者、行動する者でもあるということです。

もちろん、高校までと同じように、先人の教えを学ぶことも大学生の必要条件です。しかし、それらを鵜呑みにするだけで事足れりとしていては、学生として十分ではありません。

 

フンボルト理念に見られる理想の学生像

学生が学ぶ者であると同時に研究する者でもあるという理念は、近代の大学発祥とされるベルリン大学(現フンボルト大学)創立までさかのぼります[1]

ドイツ観念論の主要メンバーでもあったベルリン大学の創立者たちは、教師と学生が共に研究するなかで学生が学ぶことを大学教育の理想としていました。その理想を実現したのが、今日では当たり前に存在しているゼミ(演習)や研究室と考えられています。
 

現代の大学生(学部生)が、最先端の研究でいきなり成果をあげることは現実的ではありません。しかし、物事を批判的に考え、未知の課題に取り組み、場合によっては行動を起こすことは、現代の大学生にも大いに期待されています。これは学術分野にとどまらず、一流企業が大卒者に求めていることでもあります。

また、どこの国でも、学生のデモは大きく報道されます。これは、学生が社会問題を批判的に検証し、その問題意識に基づいて行動することが、社会の歪みを是正することにつながると期待されているからです。とりわけ発展途上国では、学生運動が政治に大きな影響を及ぼすことが少なくありません。

 

このように、大学生は、学ぶ者であると同時に、研究する者であり、行動する者であることが期待されています。講義や教科書の内容をただ覚えるだけでは高校生と同じです。未知の課題に取り組むために、または、世界の諸問題を解決すために、批判的に学び続けてください。それが大学生の使命です!

[1]フンボルト理念
大学は教育の場であるとともに研究の場であるという考え方。なお、フンボルト理念の歴史的経緯については、近年、疑問が投げかけられている。

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(おわり) 

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