所属する学部に未来の可能性を縛られない

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大学の4年間は、2年間の教養課程と2年間の専門課程から成り立っています。そして、大学卒業の時点で、少なくとも2年間の専門教育を受けたことになります。

しかし、たった2年間の専門性に、これからの可能性を縛られるべきではありません。

 

例えば、工学部を卒業して大蔵省(現・財務省)に入省した野口悠紀雄さんは、頻繁に「なぜ工学部から大蔵省に入省したのか?」と質問されたことについて、次のように語っています。

大学の専門課程は、わずか2年間だ。私は、それ以来、30年以上を生きている。なぜ、30分の2にそれほどこだわるのだろう。

野口悠紀雄 『「超」勉強法』 講談社 1995年 p.21

 

大学で学ぶ専門性にこだわりすぎると、その後の人生の幅を狭めてしまいます。学びは大学で終わるわけではなく、むしろ、本当の勉強は卒業してから始まるといっても過言ではありません。大学を卒業した後で学ぶことのほうが、卒業までに学ぶことよりもはるかに多いからです。
 

同じことは、在学中にもいえます。

自分は会計学を専攻しているから、会計に関する科目を履修しなければならないという奇妙な責任を感じていませんか? 機械工学が専門だから、それが生かせる就職先を探すべきだと視野が狭くなっていませんか?
 

自分が所属する学部の専門教育に満足しているなら、そのまま専門性を磨き続けることも選択肢の一つです。しかし、他の分野にも興味がわいてきたなら、遠慮せずその方向へ進んでも良いのです。

文学部にいながら数学を学んでもかまいません。理学部にいながら経営学を学んでもかまいません。工学部から文学研究科に進学してもかまいませんし、一般企業に就職して人事や総務で働いてもかまいません。

 

せっかく今の学部に所属しているのだから、それを生かすべきなどとは考えないことです。経済学では、すでに投入してしまっていて、もう戻ってこない費用や労力をサンク・コスト(sunk cost)といいます。サンク・コストにこだわりすぎると、それ以外の可能性が知らないうちに閉ざされてしまいます。

もし、いま所属する学部学科と無関係の分野に関心があったとしても、選択肢から外さないようにしましょう。諦めなければいくらでも学べるし、いくらでも道は開けます。

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(おわり) 

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