教養入門 ~教養とは何か?~
適切に意思決定するために必要な能力
それでは、適切に意思決定するためには、どのような能力が必要なのでしょうか?
社会学研究者Bent Flyvbjergは、アリストテレスの『ニコマコス倫理学』を参照して、知を次の3つに分類しました。
エピステーメー (episteme)
書籍で学べる客観的知識。教科書に書いてある知識、筆記試験で問われる知識など。
テクネー (techne)
経験的に習得できる主観的知識。スキル、コツ、勘、職人の技など。
フロネシス (phronesis)
高度な主観的知性。賢慮ともいう。価値観、倫理観、世界観、人生観、感性、アイデンティティなど。
このモデルは、幅広い知識としてのエピステーメー、それを自由に使いこなすためのテクネー、そこから導き出された合理的な解が自分にふさわしいかを判定するフロネシスから成り立ちます。
教養学部では、これら3つの知をバランスよく習得することで、適切に意思決定する能力(=教養)を培うことができると考えています。
参考文献
・アリストテレス / 朴 一功 (翻訳) 『ニコマコス倫理学』 京都大学学術出版会 2002年
・阿部 謹也 『「教養」とは何か』 講談社現代新書 1997年
・清水 真木 『これが「教養」だ』 新潮新書 2010年
・立花 隆 『東大生はバカになったか』 文春文庫 2004年
・野中 郁次郎 / 紺野 登 『美徳の経営』 NTT出版 2007年