アルバイトは時間の無駄?

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大学生にとってアルバイトは、社会と接点を持てる貴重な機会です。一度もアルバイトをしたことがない方は、一度はぜひアルバイトを経験してみてください。

しかし、アルバイトはダラダラと続けるべきではありませんし、その価値もありません。仕事内容を十分に修得できたと感じたら、やむをえない事情を抱えていない限り、アルバイトはやめることをおすすめします。なぜなら、アルバイトをするために大学に入ったわけではないからです。

しかも多くの場合、アルバイトの経験をどれほど積んだとしても、正社員レベルの仕事には役に立ちません。当然ながら、アルバイトは職歴やキャリアとはみなされません。逆に言えば、正社員がやるほどの仕事ではないから、アルバイトを雇うのです。

 

アルバイトをすべきでない理由

アルバイトをすべきではないと主張する人は少なくありません。例えば数学者ピーター・フランクルさんは、次のように述べています。

アルバイトはできるだけやってほしくない。(中略)大学時代には自分に付加価値をつけなければなりません。(中略)月に二〇万、三〇万稼いでうれしくても、その分知識や技術のレベルで遅れをとってしまって、結果として、会社に入ってもずっとヒラ社員のまま。一方、大学で付加価値、つまり特別な知識や技術を身につけた人は、まず入る会社をもっと選ぶことができて、しかも専門職に就くことができて、給料もうんと伸びていくのです。

岩波書店編集部編 『大学活用法』 岩波ジュニア新書 2000年 pp.111-112

 

また、中谷彰宏さんも次のように主張しています。

大学時代に、アルバイトをしてはいけません。
アルバイトをする時間があったら、勉強しよう。
寸暇を惜しんで、勉強しよう。
(中略)
大学時代は、働かないで、勉強に打ちこめる最後のチャンスなのです。
(中略)
君の1日は、老人の10年より重要なのです。
君の1日は、3年後の1年より貴重です。
(中略)
それをアルバイトの時給と交換しても、惜しくはありませんか?
(中略)
どんな理由であれ、アルバイトをしてはいけません。
そんな暇があったら、好きな本を読みましょう。

中谷彰宏 『大学時代しなければならない50のこと』 PHP文庫 2000年 pp.151-153

 
アルバイトをしていれば、経験もお金も増えるため、時間を有効活用している気になります。しかし、それは錯覚です。実際は、目の前の千円に目が眩んでしまっただけで、中長期的には確実に損をしています。

明確な目的がないのなら、アルバイトはやめたほうが賢明です。

 

それでもアルバイトを続ける理由

原則としてアルバイトの継続はおすすめしませんが、いくつか例外もあります。
 

強い目的意識がある場合

例えば、接客を通して対人関係の苦手意識を克服したいなど、強い目的意識がある場合は、アルバイトも一概に価値がないとはいえません。私費留学の費用を貯めるために働くということもありえるでしょう。

ただし、アルバイトの目的がお金だけだとしたら、両親から借りたり、奨学金の利用をまず検討してください。お金は卒業してから返せばよいのです。
 

大学のどこにも居場所がない場合

大学のサークル・部活動、ゼミ・研究室などに所属しておらず、アルバイトの職場にしか居場所がない場合は、当面はアルバイトを続ける意味があるかもしれません。人間にとって、自分の居場所を確保することは確かに大切なことです。

しかしその場合でも、アルバイトの時間は極力減らして、むしろ、大学に居場所を作るよう努めてください。
 

特殊な業界で下積みが必要な場合

アルバイトやボランティアなどの一定期間の下積みを、正社員としてその会社に入社する際の条件としている特殊な企業や団体が、一部で存在しています。その場合は、まさに学生時代に挑戦すべきでしょう。また、将来の起業を目指して、ベンチャー企業などでアルバイトをしながら実践経験を積むことも貴重な体験になるでしょう。

 

これらのように、アルバイトを一律で悪と決めつけることも誤りです。

自分にとってアルバイトを続ける価値がどれほどあるか? それを自分に問うこともまた、学生生活を見直す良い機会になります。正解はありません。自分でじっくり考えてみましょう。

 

アルバイトをやめて何をするか?

アルバイトをやめたら、いったい何をすべきか? 答えは簡単です。勉強してください! 自分がやりたい勉強を思う存分勉強してください!

一口に勉強といっても、机上の勉強とはかぎりません。サークルでも部活動でも読書でも旅でも恋愛でも、やりたいことなら何でもかまいません。これをしなければ大学を卒業するわけにはいかないと思っていることをやってください。それがまだ見つかっていないのなら、今から必死になって探してください。
 

卒業したら嫌になるほど働けます。しかも賃金は、アルバイトの倍以上です。だから、今しかできないことに挑戦しましょう!

(おわり) 

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